みどり

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 今はあるか分からないが、私が高校生時代には強歩大会なるものがあった。夜の九時頃に低山の頂上から高校の校舎まで朝までに帰ってくる、というものだ。酔っ払いのおっさんたちを見ながら夜に校舎まで自転車で行き、バスで頂上まで行く。特攻服のヤンチャな人たちが車でひやかしに来たりして、先生たちが追い払い、スタートする。何キロか毎に休憩ポイントがあり、果物やらお菓子やらスポーツドリンクなどが無料で楽しめた。そうして、夜は明けていき、すっかり朝になるとようやく校舎に到着する。校舎ではやはり無料でうどんが振る舞われた。うどんを食べ終え、眠気と戦いながら自転車で帰るのだ。蛇行しながら帰った記憶がある。誰も居ない夜道を友人と歩いていく経験は、刺激的で楽しくしんどかった。ひんやりした夜の空気も心地よかったが、あの朝日が昇ってくると共に感じる温かさは、クタクタの体に活力を与えてくれた。
 大人になってからは、朝日の光から活力を貰う、なんていう経験はなくなった。あの経験は貴重だったようだ。

6/9/2023, 1:47:43 PM