闇の精霊

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【夢と現実】
ずーっとずーっとずーっとずーっと永遠に永久に眠っていたい。甘ったれと罵られてもいい。救いようのない屑と罵られてもいい。先輩がいる夢に捕らわれていたい。
「現実で成す事があるだろう?辛くても進む。そう決めたのは…」
「君だろう?」
覗き込んでくる表情一つ変わらないその茶色の瞳は酷く冷たかった。俺をからかうあまり感情の読めないあの瞳が恋しい。お前なんて偽物だ。夢から覚ますならもっとマシな手を使え!
「そうかい。君の大嫌いな目をすれば戻ってくれるのか。良い事を聞いた。フフフッ」
顔面に息がかかる距離。つい、見てしまった艶やかな唇から瞳に視線を移すと瞳孔が縦に長く、此方を嘲る様な冷ややかな。そう…大嫌いな蛇の瞳。全身から冷や汗が吹き出す。叫びたくもなったがそれよりも怒りが勝る。先輩は…蛇じゃない!あんな…!あんなッ!下劣でずる賢いおぞましいものじゃない!
「蛇だよ。執着で狂わせて悪い悪い蛇に変えたのだから蛇さ」
違う!違う!違う!
「この血には蛇の血が流れている。それは紛れもない事実。それを否定してくれるのだろう?血族のしがらみを何とかしてくれるのだろう?意思の弱い君を私は望んでいない」
突き付けられる現実。止めてくれ。責めないで。許して。毛布を被って頭を抱えて丸まる。
「夢というのは全てが甘美じゃない。悪夢から目覚めてくれ。今、君に映る私は蛇かい?愛しの先輩かい?」
布団から顔を出す。背を向けていた先輩がどちらかだったのか。目覚めた今では分かりようもない。汗でびしょびしょだ。顔でも洗おう…。真実と甘い幻が織り交じる…悪夢。気が狂いそうだ。詐欺師よりたちが悪い。だが、奴への復讐心を忘れずに済んだのは良い事だとする。それだけで…生きてる。

12/4/2024, 10:58:53 AM