ソイソー刀2

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シャァーー!!
後一歩、もう一歩、しかしその球には届かない。
誰も彼には敵わなかった。打球音と彼の掛け声だけがこだまする。
ここまで強いと尊敬すら覚えるレベルだが、私は現に対峙しているのだ。
カァーーン…鋭く隙を突いた一発が台上を走る。脚は後半歩届かない。ラケットの先まで神経が通っているような感覚がする。
届かなかった。ただそこには11を指し示す得点板があるだけだった。
もう高校三年生の夏、卓球なんかを続けるなんて難しいとは分かっていた。
内心、届くことはないと分かっていた。ただそれが現実になっただけだ。そう言い聞かせた。

7/10/2025, 9:20:18 AM