幼い冒険家だった私には
今でも語り継がれている武勇伝がある
まだ保育園に入る前の事
(その当時はまだ子供という生き物は
ほぼ完全自由で親の束縛もなく
気ままに毎日を過ごせていたのだよ)
私は母親の目を掻い潜りその日
外の世界へと冒険に出かけた
姉がいる保育園に行って姉と遊ぼう
そう決めた私は颯爽と道を進む進む
商店街へ出た
この商店街の裏手に保育園がある
けれど商店街はどの店もぴったりと
寄り添いあっていて
裏手に入る道が見つからない
この道の先に保育園があるのに…
けれど私は冒険家
冒険家は泣き言を言わないものだ
商店街のある店に堂々と入って行き
「こんにちは!ねぇねぇおばちゃん?
あのね?わたしのおうちはどこ???」
我ながらあっぱれな武勇伝
嗚呼どうかその先どうなったのかは
聞かないで………
《 この道の先に 》
7/4/2022, 5:06:51 AM