風音

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あの日、
地面が揺れた日
灯りは消え
まっ暗闇の中
聞こえてくるのは
地鳴り。
山が崩れる様な轟音。
人々の叫び声など
飲み込まれる程。
闇の中、
唯一、国道が交わる道の
信号機だけが、無事だった。
あの日常的な光がどれだけ
動揺した心を落ち着かせたか。
電気がついたのは日が変わり夜中の2時。
どれだけ安心した事か。只、
震源地だった所には、電気はつかない。
明るくなったとしても
目に移った風景は
見慣れた日常ではなく
瓦礫と化した建物だったのだろう。
希望ではなく、絶望。
それでも、
時はとまってはくれないから
歩くしかない。
歩き進めるしかない。

自然は癒し。
だが、時として牙をむく。
人間なんて自然の前には
力及ばない。
それでも
生きるしかないのだ。



お題 暗がりの中で

10/29/2022, 5:53:32 AM