塵芥 椎歌

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【子猫】


その小ささと
その瞳と
その暖かさと
その鳴き声と

その垣間見せる
色々な感情と仕草

誰に似てるんだろう、誰だっけなぁ


「ま、いっか」


そういえば
「吾輩は猫である」の名前の無かった猫は
お酒を呑んで亡くなったんだっけ


――吾輩は死ぬ。死んで此太平を得る。
太平は死ななければ得られぬ。 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。有難い、有難い――


と、思って鳴いて溺れたんだっけ

猫目線で書いた夏目先生は猫になれたのかな

若しくは猫だったのかもなぁ


あら、気付けば
強気で弱気な瞳を持ってして、
私の様子見している可愛い子猫さん


見透かすのが上手
空気を読むのが上手
人を喜ばすのが上手
機嫌の塩梅が上手


心を猫じゃらしでくすぐられる様な
心を見透かしてる様な瞳の子猫さん



―何を見ているか何を考えてるのか分からないよね―



人は見える物しか信じないから伝わらないけど
君が見てるものを私は分からないけど、


「私は君のその嗅覚や五感を信じるよ、大丈夫よ」


嗚呼、いつからか、私はこの瞳を持って、
五感を持ってして見事に生きて


「南無阿弥陀仏」


何かに溺れて、きっと、私も、どこかの誰かも、
あの作品の猫の様にいつかは亡くなるんだ


「君は私みたいね、ん? 私が君みたいなのか、
失礼、あはは」


――気付かない振りも上手ね――


猫は返事の代わりに「ニャァオ」と鳴いた
私は応えの代わりに馬鹿みたいに笑った

ワインの瓶を抱えながら
一緒にマタタビ如何?と君を呼ぶ


AM:4:37の日常の中に閃き
何かが開花、否、解禁宣言されたある夜のお話


「にゃりがたい、にゃりがたい、だね、ふふ」




――塵芥――




























――忘れよう
私の事は、もう――




――塵芥――

11/15/2023, 9:03:09 PM