もう一度だけあの頃に帰れないだろうか。
そんなことをふと思ってしまう。楽しかったあの頃に。もう一度だけ、そうもう一度だけ。
そう思ったところで戻れないことは分かりきっているのだけれど。
昼下がりの下校中、ひとりだったからだろうか。つい、そんなことを考えてしまう。今日は面談週間で午前授業だけだった。いつも一緒に帰っていた友だちたちは、軒並み面談だの講習だので一緒の下校はできなかった。
別に、今の高校に入学したことを悔やんではいない、いない、はず。部活は好きだった。仲間たちも弓道も、好きだったし楽しかった。私の高校生活の九割九分は部活でできてると言っても過言ではない。部活以外の学校生活はクソだった。もはや汚点である。部活が、部活だけが唯一の美点だ。今の高校に入ってなければ、あの楽しい部活の日々や、仲間たちとのささやかな日常も無いと思うと悔やめない。
でもなあ、それを鑑みても中学校のほうが楽しかったんだよなあ。そう思う私がいる。しょうもない会話して、バカみたいに笑って。なんも考えなくても良かった、気を遣わなくていい友達が居て。程度の低い話をしてもノッてくれて。アホみたいだけど、それがいい。きっと、私の心の年齢が合っていないんだろうな今の高校と。すべてを曝け出せる友達なんて高校には居なくて、メイクだのファッションだの私の知らない世界の話をする友だちが居て。どうして気を遣わずに側にいれるだろうか。もう、疲れてしまった。「うん」と返事をしたら「こ」って付けてくる友達に会いたい。
昼下がりの下校中、ひとりで昔の友達に想いを馳せる。受験が終わったら、あいつらとどこか行こうか。ただのファミレスでもいい。なかなか会えなかった3年間を埋めるみたいに笑いあいたい。
少し西側に傾いたお天道様が、私の暗かった心をちょっとだけ照らした。
12/2/2024, 11:45:39 PM