ひな

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真夜中


すっと目が覚めた

辺りは真っ暗で、空調と秒針の音だけが聞こえる

何時だろうとスマホに目をやると1時を少し過ぎたところだった

明日も仕事だ、寝なくてはと思うが余計に目が冴えていく

無理やり目をつむり眠気が来るのを待つがどんどん時間だけが過ぎていく

もういいやと思い布団から出る

水でも飲むかと思いキッチンへと向かうがふと見えた窓の向こうに視線が釘付けになった

月から地上に向かって光の道ができている

その道を誰かがゆっくりと登っていた

実はまだ寝ているのかな

そう思い頬をつねってみるが痛かった

痛覚がある夢なのか夢じゃないのか

静かにパニックに陥っている自分に気付くことなく誰かは月への道を歩んでいく

もう少しで月と重なる時、その誰かはこちらを振り向いた気がした

遠くてよく見えないはずなのに不思議とその誰かの顔ははっきりとわかった

あぁ帰ってしまうのか

頬を一筋の涙がつたっていくのだった


5/17/2023, 11:07:55 AM