ぺんぎん

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「日の出」

午前7時。
柔らかな光。窓からゆっくりと降り注いで、
橙色が美しく揺らめく。めらめらと燃えているよう。
あぁ、今年も見逃してしまったか。
あったかいココアを啜る。起きたばかりのぼんやりとした
朝にはうってつけだ。

真っ赤に腫れた目を擦ってみた、けど。
なにも見えないんだ、嫌なくらい。
あ、やっぱり居ないんだ。


私、なんにも変わっていないね。
簡単に手に入る運命なんかに縋って。


こんな風に新年を迎えるのはもう何回目だろうか。
もう戻らない君の幻灯を探していつまでさまよっているのか。
君が居なくなって、元通りになった日常。なにも変わらない筈なのに
ふとした時、君が淹れてくれたコーヒーの香ばしい香りが欲しくなるのは、
自分と違い早起きな君が日の出を見に連れていってくれたあの海が儚くみえるのは。

日の出みたいに、綺麗で、美しい恋だったら良かったのかな。
数年前にあっさり消えてしまった愛に、今頃溺れてどうすんだよ、馬鹿。

1/3/2022, 10:06:46 AM