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# ずっと隣で

 小学生の頃、シートン動物記を読むのが好きだった。ウサギやヤマネコ、キツネ、クマなど色々な動物が人間のように感情や考えを持って逞しく生きる姿が好きだった。特に、「オオカミ王ロボ」の話が一番のお気に入りだった。
 オスオオカミのロボは、広い縄張りを持ち、一際大きく力強い体と賢い頭を持った群れのリーダーだ。少数精鋭の仲間たちと一緒に狩りをし、時に悪戯目当てで人里まで下りて家畜を荒らすこともあった。しかしロボは大変頭が良かったので、猟師たちの仕掛けた罠にも引っかからず、ロボは悪名高く辺りを騒がせた。
 そんなロボは、ブランカというメスオオカミと番になっていた。猟師はそれに目をつけ、ある時ブランカを仕留め、その遺体を囮にロボを罠にかけた。ロボは捕まり、妻を失った悲しみから衰弱して亡くなってしまった。
 猟師は最後、ロボの遺体を、先に亡くなったブランカの遺体の隣に置く。そして二匹の亡骸を見つめながらこう言う。
「ほら、お前はどうしてもこいつのそばに来たかったんだろう。これでまた一緒になれたぞ」
 この猟師の台詞が、ずっと心に残っている。

3/14/2023, 9:39:18 AM