クジラになれないイルカ

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七夕____


学校の廊下に竹が2本あった。生徒が短冊を書きすぎてほぼ竹なんて見えなかったかが、放課後私も友達とその短冊だらけの竹の前に立った。

「彼女をください!!」

「あわよくば赤点回避」

「推しと結婚♡」

「楽しい高校生活になりますよーに」

みんな、それぞれ思い思いの願い事を書いていた。私は何を書こうかと迷ったが、真っ先に浮かんだのは好きな先輩のことだった。


ロッキンというライブに行く約束をしていた私たちはもう少しで当選結果がわかる頃だった。「ロッキンに行けますように!」私はそう短冊に書いた。

「まったー!」

飾ろうとした瞬間友達が私の手を止める。

「先輩の名前入れないの??」

「えー、バレたら最悪じゃん」

「いやいや、こんだけあるんだから大丈夫だよ!」

「確かに。じゃあ、イニシャルだけ入れるよ」

「そーしな!そーしな!」

友達はニカニカしながら短冊に「好きな人と両思いになれますよーに♡」と書いた。私は、「T先輩とロッキンに行けますように!」と書きなるべく目立たないところに飾った。


「ねぇ!T先輩ってのが話題になってる!」

そう友達からのLINEに私は思わず声を上げた。

先輩は友達と同じ部活であり、大盛り上がりで話をしていたため思わず耳を傾けるとわたしの名前が上がっていたとか。そして、先輩のスマホの中には私の短冊があったとかも…。

ロッキンには無事当選した。
だけど、次どんな顔をして会えばいいのか、。


7/7/2023, 4:02:54 PM