NoName

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階段から上がってくる音、台所で耳をすまして聴き入る。
帰ってきたのね、疲れた顔で微笑む貴男。
長い年月が過ぎても変らない靴音。
鉄製の階段を駆け上がる靴音に、振り返ると見知らぬ顔が会った。
新しく入った同僚らしい、只其れだけなのに今でも脳裏に浮かぶ顔。
お互いに年相応になっても、忘れない靴音と貴男の顔。
遠くの空へ羽ばたいて行っても、忘れない貴男の靴音。
ちゃんと見てるから大丈夫、だから元気な靴音を聞かせて。

4/12/2026, 5:34:44 PM