祖父危篤の連絡を受け、
家族の中で、私と母が先に田舎へ向かった。
途中で叔母と合流。
新幹線の駅から、またバスで2時間はかかる町なのに、
夜遅いため、バスはもうなくタクシーで暗い山道を進んでいく。
途中、休憩をとるためタクシーから降りると、
星々が降ってきた。
そう思うくらいの、
蒼白くあたりが輝くほどの、満天の星空だったのだ。
祖父が危篤なのに、
星空に見とれているなんて、不謹慎だ。
そう思って口には出さないでいたら。
「すごい星だね」
母や叔母が、口々に言う。
そうか。
どんな状況であっても、魅入ってしまうような空なのか。
少し罪悪感が薄れた。
あの日以上の星空を、いまだに見たことがない。
祖父が回復したため、
悲しい思い出とならずにすんだ出来事だった。
#星空
7/5/2023, 11:13:55 AM