#2 「忘れたくても忘れられない」
日記
私には物心着く前から家族ぐるみの付き合いをしていた幼なじみがいた。仮に名前をkくんとしておこう。kくんとは幼稚園と小学校が同じで、クラスもずっと同じ腐れ縁だった。喧嘩はもちろん沢山していたが、それ以上にウマが合い、周りからはよく夫婦扱いをされていた。当時お互いに恋愛感情は全くなかった記憶だが、今となっては淡い初恋みたいなものも少し混ざってたのではないかと思う。いや、無いか。多分1番気が許せる大親友だった。
そんなkくんとはきっとこの先も何かと腐れ縁なんだと思っていたが、中学に上がる前、自然災害で地元を離れ、避難生活を余儀なくされた時期があった。避難生活が終わり、学校が始まるとそこにkくんの姿は無かった。kくんは避難先に定住することに決めたらしかった。先に言うと、彼とはそれきり一度も会ってないし、連絡をとってもいない。
あの頃の私は小学生で、まだ携帯も普及していなかった。しかも自然災害の影響で突然の別れだった為、当然住所などを知る術もなかった。今となれば、親は連絡先を知っていたのではないかと思うが、あの頃は親に聞いたら好きだと言ってるような気がしてそれは嫌で聞きたくなかったし、友人達の前で話題に出すのも然り。
まあ、口に出さないようにしてたおかげで年々kくんのことを考える時間は少なくなったのだが、完全に忘れる事は未だにできていない。年に数回は彼を思い出すことがある。声も顔もうろ覚えだし、最後の記憶が小学生だから、あの頃から顔つきも変われば声変わりで声も変わったんだろう。私の記憶に残る彼はもう居ないんだろうな。
未練がましい気がしてさっさと忘れたいのだが、多分、私はきっと、これからもずっと、kくんを忘れることは出来ないんだと思う。そう、確信している。
10/17/2024, 9:58:44 PM