蓮池

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「ごめんね」

アイドルになりたかった。
キラキラでふわふわな衣装を纏って踊る姿は私の憧れ。
そのために厳しいレッスンを乗り越えて、私はステージに立つ資格を手にした。
マイクを持って、あの頃夢見たキラキラでふわふわな衣装を纏う。
今、ステージの向こうでは沢山の人が私を待ってくれてる。
高鳴る心臓を押さえて深呼吸を一回、二回、三回。

皆が私の味方だったわけじゃない。
たいして可愛くないくせに、とか
もっと上手く歌える子がいるのに、とか
踊りが下手、とか

そんなの私が一番分かってる!
あの子の方が可愛くて!
あの子の方が歌が上手くて!
あの子の方が踊りが魅力的で!

でもそんなことで諦められない!!

メイクや表情の作り方を勉強した。
可愛くなったよねってみんなに褒められた。
ボイスレッスンやダンスレッスンに通い詰めた。
歌も踊りもあなたが一番だよって認めてもらえた。

準備はできたよ。
一、二、三。
ステージに飛び出した。

「可愛くてごめんね?」
歓声が私を包み込んだ。

5/29/2023, 12:11:54 PM