sumile

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「一年後何したい?」
無機質な白い部屋のベッドの上でそう聞かれた。
「私に一年後なんて来ないよ。」
なぜそんな分かりきったことを聞くのか分からなかった。
私に一年後が来ないことを告げたのは先生じゃないか。
私は、生まれてからずっと病気と戦っていつ死ぬかもわからない恐怖に怯えてそんな生活から抜け出したかった。
そんなとき、私の体はもう一年ももたないことを知った。
私はやっと解放された。
そう思ったのに、どうして先生がそんなこと言うの。私が考えを巡らせていると先生が口を開いた。
「今流行りの終活やってみたらどうかなって。はい、これ!」
私の好きな色の大人っぽいノート。
最初は無理なお願い書いて先生を困らせよう始めた。病院からは出れなかったけど食べたいもの、欲しいもの何でも書いた。交換日記もした。先生は忙しいはずなのにいつも時間を作ってくれた。
そんな生活をしてたら半年が過ぎようとしていた。
私の心には「死にたくない。もっと色んなことしたい」ずっと押し込めていた気持ちがあふれでてきていた。
「生きたい」そんな気持ちは初めて発作を起こした日に捨てた。それなのに、、、。私は終活を止めた。これ以上は駄目だ。死ぬことが怖くなってしまう。
余命を告げられたのは桜が咲く春。もう蕾がなっている。
もうすぐ一年だ。せめて桜が咲くのを見たかったな。もう私は駄目だよ。そのまま私は眠るように同じ病気で死んだお母さんのところへ行った。
「先生は私が死んだ後終活のノートを見ただろうか」
そこに先生の最初の質問の答えをかいたんだ。
もう私は確かめられないけどね。 

「一年後先生と桜がみたい」

6/24/2023, 1:57:11 PM