あのときの景色が、今でも脳裏に焼きついている。泣き叫ぶ母に、罵声を浴びせ物を投げつける父。僕は布団に包まり息を殺した。朝になる頃には、父の姿はなく、ぐちゃぐちゃになった母が座り込んでいた。母は僕を恨んだ。あんたがいなければ、と何度も言った。そうして、恋人を作り家を出ていった。食べるものがなく死ぬ、と思った。この世界に祝福など無いと知った。
11/9/2024, 2:23:46 PM