【雲り】

おおっと待ちな、そこのおめぇさん。尻に「り」をぶら下げた「雲」公、おめえだよ！

このすっとこどっこい！いつもみてえに呑気に空でぷかぷか浮かんでりゃいいものを、なんてまぎらわしいもんを尻にくっつけてやがんだ、このとんちき野郎が！！

「くもり」ってえのは、すっきりしねえ有り様をさすもんで、おめえの字がさす、水や氷のつぶが空でかたまったものってえ意味の「雲」とははっきり違うんでい！！いっしょくたにされちゃあ、こんがらがって参っちまわあ！

そのせいで「くもり」のご隠居さん、面目なくして寝込んじまったってえ話だ。

気の毒に、家の人たちゃみんな慌てふためいて、なんとかしてくれと御用聞きのおいらに泣きついて来たって次第よ。そんなわけで、やい「雲」公、神妙にしやがれ！！

なに？うっかりしてただけで、勘弁してくんな、だって？しゃらくせえ！！

四の五の言わずについて来やがれ！！番所でたっぷりと同心の鬼親分に説教してもらうんだな。それがすんだら放免してやっから、メソメソ泣いてんじゃねえや！さあ行くぜ！！

3/23/2025, 11:48:56 AM