風信子

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二十年以上前から壁に掛けてある部屋の時計は、合わせても合わせても、いつの間にか進み過ぎてしまう。

何だか生き急いでいるようで、気にはなりつつも面倒で、もう頻繁には合わせてはいない。



ただ全ては変化してゆくだけで、時間なんて実体がある訳では無いけれども、人は時を軸に人生を考えるもの。


今人生の残り時間が分かったなら、人は、自分は、どんなふうに生きるだろう。
やりたい事はネガティブなものか、ポジティブなものか。



音を消した暗い部屋の中では、普段は聞こえない、気にもしない秒針の音が、不思議とやけに大きく響き、訳も無く、
少し恐怖心を煽る。



「時計の針」

2/7/2023, 9:55:49 AM