ミツ

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「大好きだよ」

何回も何十回も何百回も何千回も言われた言葉。

そして、僕自身も言い続けた言葉。

初めて会った時、好きになった。

一目惚れして勢いで告白。

振られると思ってた。

何も知らない無愛想な男。

普通は怖いだろ?

だけど彼女は受け入れた。

受け入れてくれた。

嬉しくて、舞い上がって。

少し彼女を困らせてしまった。

付き合ったのは数年だ。

彼女と付き合って数年。

僕の思いが「好き」から「愛」に変わった。

中学3年の時だった。

受験勉強そっちのけで遊び呆けていたときに彼女に言われた。

「信じられない」

僕は驚いた。

それと同時に怒りが湧いてきた。

人の事情も知らないでそんな事を言うなんて。

別れようと思った。

でも無理だった。

僕の思いは愛に変わっていた。

愛情は強い。

そう自覚した。

手放すにも手放せまい。

その翌日、僕はプロポーズをした。

今!?っと驚かれたが気にしない。

心配だった。

彼女ほど素敵な人はいつか僕より素敵な人にころっと奪われてしまうんじゃないかと。

怖かった。

生まれて初めて恋をした人が僕が向けている目を知らない誰かに向けるんじゃないかと。

そう考えただけで死にたくなった。

僕は昔からよくメンヘラと言われていた。

そんなことは無いと否定していた。

愛は強い。

なににも勝る。

だから愛が人を狂わすことなんてよくある事だ。

愛する人の為には命をかけられる。

誰かを殺めることも出来る。

そう、愛があれば何でもできるのだ。

高校卒業後、僕達は自らの望む大学に受かった。

別々になってしまったけれど、愛が僕達を繋いでいる。

そう思っていた。

大学を卒業したあとも順調だった。

いい職場、いい人達に恵まれ、僕達も無事に結婚できた。

申し分無い給料、二人で支え合う子育て、変わらない愛情。

望んだ道を辿っていた。

幸せだった。

不満なんて無かった。

彼女も同じだと思ってた。

でも、彼女は違った。

不倫をしていた。

疑いたく無かった。

だから見て見ぬふりをした。

休日、頻繁に友達と出掛ける彼女の顔は何処か浮かれていて、そんな彼女を呼び止めることは出来なかった。

結婚から半年の事、仕事で帰りが遅くなった。

物凄い仕事でちょっと不安だけど毎日が楽しい。

そう言った彼女の顔は僕といるときより楽しそうだった。

一年も経つと帰ってこないなんて当たり前になっていた。

何泊かなんて当たり前、忙しいから電話もかけてこないでね。

冷たく言われた言葉が胸に突き刺さる。

何日か前の出来事だった。

久し振りに帰って来た彼女は僕と目を合わせてくれなかった。

悲しかった。

死にたくなった。

けど、死ねなかった。

僕が死ぬと彼女が悲しむ。

そう思う事で平常を保って要られた。

そうするしか無かった。

それからまた数日が過ぎた。

帰ってきた彼女は僕に言い放った。

「私の為に死んでくれない?」

それだけ言って直ぐに家を出ていった。

これだけの為に…。

彼女は僕が死ぬのを望んでいた。

でも、死ねなかった。

僕は結婚する時に決めたのだ。

彼女の全てを愛すると。

少しほっとした。

僕の中にある彼女への愛情は変わっていない。

嘘ではない。

同時に気づいた。

これは愛が冷めたからではないと。

愛があれば何でもできる?

そんなのただの綺麗事だった。

まやかしだった。

僕は未だ離婚の決意はついていない。

不倫もしない。

彼女を愛しているのだから。

                         ー愛があれば何でもできる?ー

追記:最後変になってしまってすみません。

   思いつかなかったので。

   読んでくれてありがとうございます。

5/17/2024, 10:52:14 AM