花屋の半額ワゴン。
そんな場所に入れられてしまった植物はどれもどこか萎びている。だがまだ活気を秘めている。長くはないだろうが手をかければ応えてくれるだろう。
その中でも一際萎びた鉢があった。
もう誰も手をつけまい。素人目からみても買い手がつかないことは明らかだった。
憐れみながら目的のスーパーへと向かう。
買い物を済ませ、生物をしまうと草臥れた鉢を一際日当たりのいい窓に招いた。
買う予定など全くなかった。だがどうもこの哀愁漂う姿に、酷く憐憫を抱いてしまったのだ。スーパーで買い物を済ませる頃にはすっかりその気になっていたのはいったい何なのだろう。
チラリと弱々しい葉を見る。
「……しばらくの間よろしく」
まだこの心変わりを説明できないが新しい同居人に挨拶くらいすべきだろうと声をかけた。一瞬、こちらこそというように揺れた気がした。
11/4/2023, 3:18:17 PM