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〖遠くの街へ〗

子供の頃、となり街での習い事の帰り電車賃が足りない事に気づいた。
線路沿いの道を伝って家に帰ろう。
知らない道を何時間も一人で歩いた。 携帯電話も地図も持っていなかった。 心細いけどそうするしかなかった。
周りは普通の住宅街だった。普通過ぎて何度も「見たことある風景だ、家の近所にたどり着いた!」と錯覚した。
途中、精神状態が特殊になった。日が暮れるまでに戻らなければ。本当に帰れるのか?別の世界に迷い込んだのかもしれない。空の色が変だ。

やっと家にたどり着いた。

何時間も歩いて帰ってきた旨を母に伝えると「電話かけてくれば迎えに行ったのに」(※公衆電話です、昔の話なので)
あっそうか、思い付かなかった、迎えに来てくれるだなんて。それより強制的に習い事を習わせないで欲しい、から思考が先に進まないせいだと思う。




2/28/2023, 10:47:20 AM