踊りませんか?
そう言って手を差し伸べたのは美しい貴方でした。
とても鮮やかな赤のドレス身に纏い、その柔らかな手をスッと差し伸べてまるで貴公子の様に軽く膝を折ってましたね。
それに私は軽く笑って
「逆ではありませんか?」
と問いました。
そうしたら、貴方はいつもの様に笑って
「なぜ私が待たなければいけないの?
待つくらいなら迎えに行くわ」
と、勝ち気に笑っていましたね。
私はそれに思わず見惚れました。
あぁ、いえ、惚れ直しました。
私は貴女の潔さと強さに惚れ込んだのです。
ですから、
「大丈夫ですよ、愛しい人」
死が貴女を迎えに来ても貴女は笑っていましたね。
「悔いが残ったとしても私の人生は最高だわ
だってそれも私だもの」
そう言って最期までも鮮やかなまま。
「結局、最後までも貴女に迎えに来させてしまいましたね」
「あら、言ったじゃない
待つくらいなら迎えに行くわって」
男としては情けないのかもしれません。
しかし私は、とても幸福な人生を送りました。
彼女の鮮やかな色と感覚を常に見れていますから。
10/4/2024, 3:59:51 PM