カチ、カチ、カチ、カチ、ゴーンゴーン
時計の針が午前零時を指した時、肉と肉のぶつかる鈍い音がした。
そしてすぐ後にコンクリートに肉体が打ち付けられた--
パトカーはランプを点灯し急いで走っていた。
1月1日午前5時15分
桜庭は相棒の設楽と共に現着した。
2人は遺体に合掌してから状況を聞いた。
「第一発見者は二十代男性。朝のランニング中に発見したそうだ。」
「なるほど。随分と早い時間から走っているんだな」
「ああ、毎朝仕事の前に走っているそうだ。で、解剖の結果を待たないと詳しいことは分からないが、遺体の硬直具合から見て死亡推定時刻は1月1日午前零時だろう」
「死因は激しく殴られたことと地面に打ち付けられたことによる頭蓋骨折と見られる。」
そこまでとは相当だ。
「身元は所持品の免許証から割り出されており、地元のヤクザグループのメンバーだそうだ。」
「身元のわかるものを置いていくなんて犯人も焦っていたのか」
「しかし、揉み合った痕跡はあれど指紋は本人のもの以外ついていなかったんです。」
「“犯人は口論になって衝動的に殺してしまったのではなく殺すつもりで現場に来た”ということか」
【時計の針】
2/6/2024, 5:47:20 PM