なツく

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薄暗い明け方に伸びた陰を掠める風は、部屋の花瓶に生けてある萎れ欠けた水仙の瓣を煽り壁に映り揺らぐ影はとても幻想的なもので何度も諦め忘れようとした想いが混み上げてくる。

これは、一生伝えられない。

仮に伝えられても報われない恋。

そう分かっていても毎日。

毎日ずっとずっと君の事を考えてしまう。

ふとした時に呼吸が出来なくなるほど君の事が好きだと胸が熱くなり締め付けられる。

「(あーあ、、また泣いてる、、)」

これが夢ならと何度思った事だろう。

ずっと2人で一緒に笑っていた筈の私は、本当はずっと1人で泣いていた。

全身を鎖で縛られ重りを括り付けられた挙句、深く暗い水の底に沈められる樣な感覚が蜘蛛の巣みたいに気持ち悪いほど纏わり着いてくる。

友達、性別、家族、社会、どれだけ想っていても越えられない障壁。

この混沌とした人生を何度繰り返せば、私達はお互いに想い合う事が出来るのだろう。

たった一つの想いに悩み苦しみ涙を流す私は、この世界にとっては小さい存在。

もし、この世に神様が存在するなら私は

「三奈子と、、」

だなんて、また涙を零す。

あの子が幸せならそれで良い。

「私は友達、、ずっと、、」

片想いを何年も引き摺る自分が馬鹿馬鹿しい。


「あー、今日も学校か、、」

朝日が昇り燻んだ雲が泛ぶ空の下には、互いに惹かれ想い合う2人の少女が居た。

4/15/2023, 2:31:39 PM