翠夏葉

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「ねえ、時間を操ることができたらどうする?」
あなたは瞳の奥にいたずらっ子のようなを光を覗かせながら尋ねる。教室に残っているのは私達2人だけだった。

「ええっと〜まずは1日を48時間にして…」
「いっぱい寝られそう!」
「そうなんよ。割と真面目に48時間欲しい…今度またテストあるしね」
「あ〜!テスト!耳が痛い!……今度一緒に勉強しよ?」
「前もそう言ってたけど来なかったじゃん」
「反省してます…今度は絶対行くよ〜よろしくお願いします!」
「わかった、じゃあ約束だよ?」


こうしてふざけていられるのもあともう少し。
巻き戻したいわけじゃない。早送りしたいわけでもない。
飴色に染まるあなたの澄んだ瞳。
小指と小指。
私の好きな、ずっと変わらないあなたの笑顔。
ただ一瞬を、この一瞬を切り取れたら。


春の足音は、もうすぐそこまで来ている。


9/19/2024, 5:18:39 PM