テーマ:何でもないフリ #29
※この物語は#20からの続編です
ミデルと別れて僕は王宮へ向かった。
ーーガチャッ
僕がドアを開けると一人の執事が出迎えた。
「坊ちゃま、おかえりなさいませ」
優しい声で言うのは、忙しい父母に代わって僕の世話をしてくれているリオだ。
「ただいま」
僕はそういったあと、すぐに部屋へ行こうとした。
「坊ちゃま? どうかなさいましたか?」
リオは何かを感じ取ったように言った。やはりリオにはわかるのだろうか。僕とずっと一緒にいてくれたから。
「ううん。少ししたらまた、出かけるから。母上と父上には…。言わなくていいから」
そう言って部屋へと駆け足で向かう。
何でもないフリをするのって難しい。
特にいつも一緒にいる人にかくしごとをするのは。
でも、僕は決めたんだ。だから……
12/11/2022, 1:15:49 PM