⚠️Warning
一部不快と思われる表現がございます。申しわけありませんが、虫が苦手な方は読まれませんように。
目が覚めると自宅のキッチンだった。
おかしいな。昨夜はちゃんとベッドで寝たはずなのに。夜中に喉が渇いて、水を飲みにきてそのまま寝てしまったのかな。
それにしてもなんだか、縮尺がおかしい。まわりを見わたし、食器棚のガラスに映ったものを見て、私は息をのんだ。
チャバネだ!Gがいる!母さんGがいる!!殺虫剤!早く!
ところが声になっていないことに気付いた。まさかと思い顔をさわってみる。
ガラスに映ったヤツも前足で頭部をさわっているではないか!
う、嘘でしょ?ぎゃー!
何で?どうして?まるでカフカの『変身』?いやあれは虫を示唆しているけど断定はしてなかったはず。いや、そんなことは今はどうでも良い。
私がパニックをおこしていると、背後に視線を感じた。
昆虫は視野が広い。
母さんと目があった(と思う)。思わず固る。
母さん私!私よ!
私の声にならない叫びが届くはずもなかった。
母は後ずさりして、廊下へ向かった。
まずい。廊下の納戸には「Gジェット」というGに特化した殺虫スプレーがあるはずだ。
逃げなければ確実に殺られる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
混乱の中、カサカサ走り出してすぐ、私は母の放った殺虫スプレーを全身に浴びてしまった。
ぐはっ…、く、苦しい…母さん助けて…。
目覚めて5分で、私は天に召された。
それにしても、あのメーカーの殺虫スプレー、素早い効き目で長く苦しまずに死ねたことには感謝…できるかー!
薄れゆく意識の中で、この悪夢から一刻も早く目覚めたいと切実に願った。
お題「目が覚めると」
7/10/2024, 12:08:20 PM