そう、あれは中学2年生の時唾液を使った実験が授業で行われている時だった。
男女二人ずつのグループで構成され、最低二つの唾液を試験管に確保しなければならなかった。
他のグループでは暗黙の了解かのように、男どもが率先して唾液を出していた。
けれど自分は唾液を試験管に出すと言う行為に前向きではなかったしどこか恥ずかしかった。
しかしグループのもう一人の男はサラッと試験管に唾液をだして、あとは眼前の試験管に自分の唾液を出すだけだった。
このままでは男が廃れる。
口の中で唾を捻出し、試験管に目掛けて唾をはいた。
が、しかし試験管の小さい穴を俺の唾液はわずかに外れて目も当てられないことになった。
透明の液が試験管を持つ指にわずかにつたっていく。
こんなに無惨なことがあるか。
何もできずただ立ち尽くしていたその時だった!
同じグループの女子Aが「私がやる〜」っと唾まみれの試験管を素手で掴み。スムーズに唾液を中に吐き出していた。
その姿を見た時その瞬間、心臓が激しく揺れ動くのがわかった。
これが、恋か……。
今でもその子のことは鮮明に覚えている。
少し茶髪の女の子。とても明るくて陸上部で友達も多くてこんな俺とも仲良くしてくれたあの子は今何をしているのだろうか。
5/7/2024, 5:17:40 PM