ゆとり

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努力したかというと微妙なところだろう。
中学受験ともなると、きっともっと努力した人がたくさんいたと思う。
一通り塾には通った。大量の課題はこなした。しかし、今となれば物足りない。
苦しさやプレッシャーがなかったのは、感じるほどに努力しなかったからなのかもしれない。
二年間、苦しくない程度の勉強をこなした後、入試会場に向かう。
家からは近かった。しかしあの日は、何十年に一度の豪雪だった。
だが、気分が下がることはない。あの雪は不思議と目標への壁には感じなかった。
桜咲く前に、私はサクラチルの通知を受け取った。入試には落ちた。
祖母に報告する電話をかけた。冷静だった。だが泣いた。泣いてしまった。
努力量はどうであれ、自分にとっては大切な目標だったのだろう。
やがて、あの日から三年が過ぎようとしている。私は高校入試を控える。
普通なら、前の失敗を生かして、と思うのであろうが、私はあれを失敗だとは思わない。
あのとき確かに学ぶ楽しさを知れた。学ばなければから学びたいに変わった。
もちろん次はもっと力をいれなければいけないんだろう。
しかし、私の中には、あのとき勉強を越えた財産を手に入れられた。
悔いが残っていないに越したことはないが、受験生である自分にとっては皮肉なものだろう。

10/6/2023, 12:57:45 PM