春雪(ひつじ)

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お題「夢が醒める前に」
夕日に照らされた白い軽自動車。
ゆっくり走る車を囲んでいるのは、同様、夕日に照らされ黄金の輝きを放っている稲だった。
とても大きな田んぼに囲まれた、少し古びた誰かの家。
覗いてみれば老人夫婦らしき人物が見えた。
2人は“俺に”気づいていたらしく、手を振ってきた。
手を振り返す俺。

「あれ、眠たい」
まだ5歳くらいで、遠出だったので疲れてしまったのだろうと勘づいた。
でも、ここで寝てしまったら2人と話せないかもしれない。
でも、眠たい。

「おやすみなさい」
そう、言った気がした。

目が覚めたら夜の高速道路を走る車の中だった。
まだ重い瞼を擦っていたが、ふと蘇る。
両親2人に「あれ、おじいちゃんとおばあちゃん家には行ったんだっけ、、、?寝ちゃった、、?」

俺が聞くと2人は怪訝な顔をしてその後不意に笑いだした。
「何言ってるの?ww行ってないわよwww夢に出てきたんじゃない?」と母親。
夢、、、?そうなのかな、、夢なのかな。

きっとそれは夢でした。
でも、ただの夢じゃないことも分かります。

だって、あれから全く悪夢を見なくなりましたから

3/20/2024, 12:38:52 PM