【幸せとは】
「ねぇ、君は幸せってなんだと思う?」
何を聞かれたのか分からなかった。
「ブランド物を買う事?それともいっぱい食事を食べる事?私は、どっちも幸せの枠には入ってるけど、どちらも万人が幸せだと確信する事ではないと思うんだ。君はどう思う?」
僕はそんな事考えた事も無かったから、なんと答えればいいか分からず戸惑っていた。
「……えっと、難しい……よね……」
「……まぁ、はい」
そんな事しか言えなかった。でも、それと同じように答えらしき物も僕の頭の中には朧気に浮かんでいた。
「……ごめんね、大丈夫だよ!ちょっと疑問に思っちゃって、突然聞いてびっくりしたよね」
「ううん、僕の方こそ答えられなくてごめん。もしかしたら検討外れかも知れないけど、一つだけ思いついた事があって……」
突然目の前で何かが動く音がした。
「良いんだよ、聞かせて!聞かせて!」
先程の音は、向かいの席に座っている彼女が感極まって椅子から立つ音だった。
「うん、良いけど急に立つと危ないから一旦座ろうよ」
「え?あぁ、了解」
彼女は素直に座ってくれた。しかし、こう改まると緊張してしまう。
「えっと、あの……僕の個人的な意見だから、そんなに間に受けないで欲しいんだけどね?僕は君と話した過去の事がとても幸せだと感じるんだ、それで考えたんだけど今食べてるご飯より少し前に食べたご飯の方が幸せに感じるんだ。……えっと、だからあの、好きな事をした後に幸せになるんじゃ無いかなって思って……ですね?」
彼女が何も喋らない静かだ。流石にすごく喋りすぎた。僕は物凄く慌てていた。
「……えっと、あの、ごめんね?喋りすぎちゃって、ほんとごめん」
「ううん、最高だった!君の意見に物凄く共感するよ!後から思い返すからこその幸せかぁ……、今思い返してみるとそうかもなぁ。君に話してみて良かった!この思い出も、今は楽しい感情だけど少ししたら幸せになるかもね」
そんな話をしたなと、昔を思い出していたやっぱり僕の仮説も中々良かったんじゃないかと、彼女の白い服を見ながらそう思った。
1/5/2024, 4:46:01 AM