惑星崩壊後268日目。(@崩壊世界旅録)
ボクは年下の少女・アーシェを連れて、アテもなくさまよっていた。
己の勘と好奇心で進み続けていく。後戻りはしない。行き止まりでは無い限り、そしてそこに、道が見えているならば。……というルールを作ったやつはなんて馬鹿なんだろう。
――否、自分自身なんだけども。
夏真っ盛りの現在。
ボクらはひび割れた山道を登っていた。
汗をダラダラ垂れ流しながら歩く。
何処かで汲んだ水は既に無くなっている。卑しん坊をしたって満足など出来ないほど、空っぽのボトルには細かな水蒸気しか付いていない。
食事にありつけたのは半日ほど前。
まだ熱中症になっていないことが奇跡的だ。
汗だけでなく、身体もダラけながら何とか歩き進んで行く。
「食べ物……いや、その前に水分……」
と、そこでアーシェが何かを見つけたのか、一点先を見つめたままでいる。
「何か見つけたのかい?」
「ん!」
兎に角見てみろと言わんばかりに指を指している。
少女の指先と"視線の先には"、西瓜らしきものが並んでいたのだ。近付いて行けば行くほど西瓜らしきものは西瓜であることをハッキリさせる。
形は歪だが一応丸くて、緑色のしましま。
自生、だろうか?
いや、自生であろうが無かろうが、1つ分けてほしいところだ。
周りを見回し、僕ら以外誰もいないのを確認する。――いない。
サバイバルナイフを取り出し1つ切り離す。
ひび割れた部分に左右の指を入れてこじ開けていく。
割いていく音もみずみずしく食欲が一気にそそられ、思わず齧り付いた。その途端。
――カチャン。
目尻辺りに金属のような物があてられている。
「何をしよる?」
やっぱりこんな美味しそうな物が自生の可能性など低いよな。
今まで察知出来なかった殺気が一気に現れたことに、ボクは身震いした。
〈to be continue……?〉
7/20/2024, 10:02:20 AM