お題 : 目が覚めるまでに
夢の中で蝶になった。
まさに胡蝶の夢、と思ったが飛び回ることはできない。正しくは「私はイモムシとなり少女に飼われている」。
この姿に悲観することはない。私はこれから大きく、そして美しい羽をもつ蝶になる。その強い予感だけがあった。
少女はこの姿に嫌がりもせず私をかわいがった。やわらかい葉を置き、掃除をよくして、ごくまれに体をやさしく撫でる。
夢の中で、少女が何を言っているかは分からない。それでもその表情は楽しげで私を癒した。
私が大きな蝶になった時、少女はとても素敵な笑顔を見せてくれるだろう。
いつかの彼女の笑顔に想いを馳せ、イモムシはまた眠りにつく。
8/3/2023, 11:13:54 AM