小さくて細くて穏やかな祖母。
ほんとのことだったのか、嘘だったのか分からない程、わたしには不思議な、自分の幼かった頃の話を沢山してくれた。
同じ話ばかり、めんどくさかったろうに。
誰もお腹がすくことがないように、いつも、茹でた栗や、とうもろこしや、柿や、さつまいもを、食卓に置いてくれてた。
こんなのじゃないやつ。なんて、なんであんなことを。
寒い朝、ようやく布団から出てくると、こたつで温めておいてくれたズボンをはかせてくれた。
スカートはいていくつもりだったのに。なんて、雪の日なのに。
毎朝の学校への道。私がお寺の角を曲がって見えなくなるまで、振り返れば手をふってくれていた。
当たり前に思いすぎてて、めんどくさくなって、角で振り返らなかったこと、私、なかったっけ?
働き者の人が、急に起き上がれなくなって、直ぐだった。
誰にも迷惑かけたくないかのように、ただ、朝から、私の手を握ったままで。
昔話を一通りしたあと、意識がなくなり
誰かが迎えにきてくれたのか、
空を見つめながら、三度息をほっほっほっと吐いて、逝った人。
一度も叱られたことがない。
私が何やらしでかして叱る母に
そこは庇わないで。と、叱られても、やっぱり庇ってくれた人。
誰にも、ほんとは、お姫様になりたい。と言えなかったけれど、
スカートをはいてくるくる回る私を、いつも、みてくれてた。
やわらかい、信頼できる笑顔で。
世界でたった1人の、
完全なる私の味方だった人。
その記憶だけで、
この世から離れて1人になりたくなる私を、ひきとめてくれる人。
いつかの時は、
必ず、迎えに来てくれるでしょ?
がんばったね。って。
#なつかしく思うこと
10/31/2022, 8:27:54 AM