名々子

Open App

長い暗いトンネルを歩いていた。

振り向くと、私がいた。

ボロボロといった風体だった。
数年前の私の人生は最悪だった。

逃げるように、先を進んだ。
前を歩く者は私と同じ背格好だ。

走って追い抜きながら、その人を見た。
やはり、私だ。

少しはましな姿だった。 よかった、よかった。

さらに、前に人が歩いている。
あれも、見に行こう。私は走った。

もう少しで 追い付く。
すると、急に相手は振り返り、

「そのボロボロの子、すぐ後ろに付いて来てるよ」

5/30/2022, 11:01:10 AM