"こんな夢を見た"で思い出すのは夏目漱石著の『夢十夜』だ。十編の短編から成る話は、解説本によると、初めは夢想を漂っていた漱石が段々と現実に戻ってきた話とも取れるらしい。
それにあやかって、一つ。
こんな夢を見た。
私は同窓会に出掛けている。
懐かしい小学校の顔ぶれは皆小学生のままだ。
友達と、久しぶりー、なんてじゃれ合っている。
どうやら私も小学校の頃の姿形らしい。
夢は始終楽しく進み、最後、会費を集める段になって、どこを探しても私の財布がない。
急いでバッグの中を漁り自分の席の周りをキョロキョロ。
会費を集める子が段々と近づいてくる。
それは初恋の男の子だった。
心臓がドキドキする。
会費、会費と財布を探すがでもどこにも財布がない!
というところで目が覚めた。
小学校の同窓会なんて一回行ったきりだった。久しぶりー、と手を合わせていた子は友達とも呼べない知人で、小学校に楽しい思い出は少ない。
夢の中のような和やかな雰囲気も記憶にない。
初恋の男の子は幹事をやるタイプでもそれに手を貸すタイプでもない。
つい先日、私の数少ない友達、から知人になった子は出てこずに、それより接点の少ない子が出てきて私も友達のように接していたあたり、夢の中でも友達不足が顕著だ。
現実で友達だったあの子とは、本当にもう友達じゃなくなったんだな、とも思った。
現実の寂しさを埋めるかのような楽しい夢にもケチがつく。
シビアだ。
1/23/2023, 11:02:09 AM