塵芥 椎歌

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それは穏やかに始まった


25秒、私の鼓動が早くなる

「生」を感じる

鼓動が躍動する

そこに思考も思想も無く

意識は脈打つ心臓へ
そこだけ
ただただ
そこだけを
一刺し釘付け硬直で

私の心臓が何か言いたげに
何かを
何かを
求めて欲して縋ってシタクテ
絡まって解けて
いよいよドキドキする

止まらないでと叫ぶ
平常より赤くなっている
見なくても分かる

私の大切な命と言う臓器が一つ

翻弄される
脳がついていけない
弄ばれている
それを望んでいる

脳もそれを知っている

―苦しい、欲しい、抉られたい―

ピシャリと音が止まった時

やっと頭が働く

ただただ
「綺麗だった」の一言しかなく
それ以上の感想など必要なく


人の心に働きかける唯一の存在

それが芸術なんだと改めて心のドキドキが
教えてくれる

身体が教えてくれる事は多い
それが自身の素直な事実である事も
間違いない


ショパンのピアノに反応する私の身体は
純粋にマゾヒズム

木枯らしは一種の性的倒錯である気がした




Winter Wind-Chopin.




題 木枯らし
著 塵芥椎名

1/18/2024, 2:59:00 AM