狼星

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テーマ:クリスマスの過ごし方 #43

※この物語は#20からの続編です

「クリスマスは、豪勢な食べ物でも作ろうか」
そう昨日の夜提案すると、ミデルは目をキラキラさせていた。その姿は無邪気な子供のようですごく可愛かった。
僕たちは材料を買い、宿泊しているホテルを変えた。そのホテルにはほぼマンションと変わらないような一部屋が用意されていた。キッチンがあって、リビングがあって、寝室があって、洗面所があって…という感じだ。
一般の人から見たら、この部屋に何も思わないだろう。しかし、『普通の暮らし』を求めていた僕たちからするとその部屋は輝かしいものだった。
「凄い!! 見て見て!! ラクラ! キッチンだよ!!」
目を輝かせているミデルに僕も自然と笑顔になった。僕らは一通り部屋を見終わると早速準備に取りかかった。
料理担当は主に僕。飾り付け担当は主にミデルが行った。ミデルは今回、魔法を使わず普通に人間たちがやってるように飾り付けをしてみたいと言った。もちろん材料はミデルが魔法で出したのだが…。飾り付けは自分で考えてつけていた。
僕はサラダ、ローストチキン、グラタン、そしてこの国のクリスマスといえば、という特別な料理を作っていると
「飾り付け、終わったぞー」
そう言ったミデルが、僕の方へと近づく。僕が料理をしていると
「私もやりたい!」
腕まくりしながら言った。
「うーん…じゃあ。盛り付けを頼もうかな」
僕はサラダのため用意された、きゅうりやレタス、トマトを差し出すと喜んで作業に取りかかるミデル。

「よし、完成!」
「何だ? これは」
そう言って、じっと見つめる先には僕が作った力作の料理があった。
「これは、ラクラ特製フープ」
「フープ?」
「フープはクリスマスに食べる食べ物でね、この国の特別な料理なんだ。小籠包や、シュウマイに似ているけど中に入っているのは、ランダム。何が入っているかはお楽しみだよ〜」
僕がそう言って笑うと、ミデルはフープを見つめた。
「早く食べたい! 今すぐ!!」
僕の腕を引っ張るミデルに笑って、
「そうだね、少し早いけど食べよっか」
そう答える。

「見て! 私のフープ、チーズが入ってた!」
「僕のはソーセージ!」
楽しくフープを食べ終わると時間はあっという間に過ぎていった。
「あ~、美味しかった〜」
ミデルは満面の笑みを浮かべていった。
「ミデル。まだあるよ」
そう言って立ち上がると、冷蔵庫からケーキを取り出してきた。
「二人分だから小さいカップケーキみたいなものだけど作ってみた」
そう言って差し出すと
「わぁ…。かわいい…」
そう言って目を輝かせる。そしてカップケーキを一口パクリと食べると
「幸せ〜」
そう呟く。僕もこんな嬉しそうに料理を食べてもらうと良かったと思った。
これが僕らのクリスマスの過ごし方だ。

12/25/2022, 2:26:39 PM