まだ知らない君
ふと気がつくと、左の小指に赤い毛糸が巻き付いていた。きつく巻き付いたそれは「わたしは運命の赤い糸だ」と直感に強く訴えかけてくるようだった。しかしそれはどこかに伸びている訳でもなく、二十センチほどの長さしかなかった。なんだよ、と思ったが、捨てるのは躊躇われたので、そのまま生活をする。1ヶ月ほど経ったころ、はじめより糸が伸びているのに気がついた。とはいってもまだ三十センチくらいだが。それでも、どこかへ伸びているんだと思うと嬉しかった。
誰かのところへ続いているんだ、と。
1/30/2025, 1:06:51 PM