「一筋の光」
天窓から降り注ぐ美しい、淡く光った情景は いつも私を落ち着かせてくれると、彼女は語る。
「天窓なんてありませんよ」
「あるのよ。ねぇ?シュレーディンガー?」
…………………………
「あなたの言う猫ちゃんもいませんよ」
「いるのよ。ねぇシュレーディンガー」
にゃー
「ほらね?」
「はぁ……僕には何も…………」
「………………そう」
彼女は納得出来ないような顔をした。
僕は、精神病院の看護師だ。この人は統合失調症の患者である。
「あなた……そのみすぼらしい服を脱ぎなさいな」
「あなたの同じ服ですよ……それに……」
にゃあ!!!!!にゃあ!!!
「あらどうしたの?シュレーディンガー?」
会話が、その彼女のつまらない妄想で腰を折られた
僕は途端に怒りが込み上げてきた僕が喋っていたのに彼女の、彼女の意味のわからないクソみたいな妄想で
怒りに任せ手を上げる
「ちょっと家永さん!?何してるんですか!!!!」
「ああああ大丈夫ですか!?林さん!!!!血が!誰か止血できる布と消毒液を!!!!」
あ゛あ゛あ゛゛あ゛!!!!!!
彼が私に手を挙げて私の家来たちが彼を押さえつけた。彼は天窓から降りる一筋の光をいっぱい浴びながら絶叫している。
「きれいね。シュレちゃん。」
猫は鳴かなかった。
11/6/2022, 11:10:28 AM