※これは乙女ゲーム、「イケメン戦国」の二次創作です。
※夢主の名前は○○です。ぜひ、自分の名前に置き換えて考えてみてください。
「ハッピーエンド」、所詮それは誰かが一方的に見て決めつけたものだ。
あの戦で信長様を庇った。
怪我をした。
秀吉さんの苦しそうな顔が見えた。
3日前のことが何処か遠くに感じ、それでも鮮明に頭に浮かび上がってくる。
現代に帰らされてしまってからというもの、いつも秀吉さんのことを考えていた。そして、またあの時代に行けたら、と思うと同時にもう行かないほうが迷惑はかからないだろう、というどうしようもない不安に襲われた。
佐助くんはまだ戦国時代にいるようだった、きっと心配をかけているだろう。
それでも、現代ではやらなくてはならないことがたくさんあるので重い身体を動かし仕事場へ向かう。
そんな日が続き、一週間程経った頃それは突然に訪れた。
ガタガタと窓は唸り、外は雨がざーざーと降っている。まるでタイムスリップしたあの日のように。
私は咄嗟に外へ出た。そして、本能寺へ精一杯駆け出した。
その時、ガッシャーンと私のすぐ側に雷が落ちた。
頭がくらくらする。そう思ったところで意識は途切れた。
「ー!」
「ー!!」
「○○!!」
誰かが私の名前を。そう思い目を覚ました。
私は声の主を確認するように重い瞼をゆっくりと持ち上げていく。盲点がやっと合った、と思った頃には目から涙がほろほろと溢れていた。そこには最愛の秀吉さんがいたからだ。
秀吉さんはまだ状況が掴めず、混乱している私に本能寺で倒れているのをたまたま家臣が見つけてくれたこと、家康さんに診察してもらったこと、佐助くんに一度来てもらったこと、ひとつひとつ丁寧に話してくれる。
やっとの思いで少しだけ声が出る。
「ぇ‥わ、たし、戻ってこれ、たの?」
自分でも思っていたよりか弱い声が出た、それでも秀吉さんは愛おしそうに目を細めて
「あぁ、おかえり」
と言ってくれる。
本当に、戻って来れたんだ。少しづつ実感が湧いてくる。私は今、自分の中の“ハッピーエンド”に初めて出会えた気がする。そして、安心と嬉しさでいっぱいな私は秀吉さんにそっと一言、こう返す。
「ただいま。」
#ハッピーエンド
3/30/2023, 1:52:16 AM