『いつまでも捨てられないもの』
一昨年の春、私の誕生日に彼氏からプレゼントを貰った。
とても嬉しくて毎日目に付くところに置いていた。
その年の夏、彼氏とお別れをした。
ある日、デートの帰りに交通事故に遭った。
横断歩道に猛スピードで突っ込んできたトラック。
彼は私を前に突き飛ばして、
轢かれた。
彼は下半身がぐちゃぐちゃになった。
彼は最期に「ごめんな、愛してる」そう言った。
私は「嫌だよ、どうして…神様!!」そう言ったけど
神様なんていなかった。
夏休みの計画表は彼と遊びに行く予定で埋まっていた。
私が死んでいれば良かった。
居なくなってもいいのは私の方だった。
彼の代わりに死ねば良かった。
そんなことを考えながらずっと飲まず食わずで部屋に籠もった。
私には幸せになる自信も、権利もなかった。
貰ったプレゼントは引き出しにしまって鍵をかけた。
鍵は捨てた。
彼との思い出は今でも、この先もずっと、
いつまでも捨てることはできない。
8/17/2023, 11:05:26 AM