道化の小説

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《たった1つの希望》

大好きで自分の命よりも大切な
貴方が事故でこの世から居なくなった
なんで私を置いて行ったの

辛くて苦しいあの場所から
どうしようもなかった私の手を引いて
連れ出して明るい世界を見せてくれたのは貴方だった
貴方から「結婚しよう」と言われて
どれほど嬉しかったか
きっとその時から
私の命より貴方が大切な存在になった
そんな貴方が居なくなってしまった
私は絶望していた
このまま貴方の後を追おうと思った
そう思ったら動かなかった体が自然と動いた
玄関の取っ手を掴んで外に出ようとした時だった

「オギャー、オギャー」
小さいあの子の声が聞こえた
私は取っ手を掴んだまま部屋の方を向いて固まった
何を考えるでもなくあの子の元へゆっくり進んでいく
ベビーベッドを覗くとあの子が泣いていた
いつからこの子を放置してしまったのか
思い出そうとしても思い出せない
私と貴方の大切な子
この子が産まれた時に貴方が1番喜んでいた
これから3人楽しく暮らしていこうと約束した

ごめんなさい
大切な子の事を放ったらかしてしまった
今の私がしなくてはいけないことは
貴方の後を追う事ではなく
貴方との約束を守ってこの子を育てる事
だってこの子は貴方が残してくれた
たった1つの希望だから

3/2/2026, 12:11:28 PM