狼星

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テーマ:好きな色 #220

「そうだな……。好きな色は?」
会話が続かなくなったため、
必死に考えた結果がこれだ。
きっと今回の縁談も失敗だろう。
「あの……。誠さん」
「はい……」
僕はきっと別れを告げられるのだろうなと思いながら、彼女に返事をする。
「私、あなたのこと好きです」
「はぁ……へ?」
彼女から告げられた言葉は僕の予想と違った。
間抜けな声が僕から漏れる。
「え、どうして……」
「あの…、だから素直に話してくれませんか? 固くならないで。趣味の…話とか。楽しい話をしたいんです。その……。誠さんと」
そう上目遣いで言われる。
その瞳がきれいで、
彼女が可愛くて、
あぁ、僕はこの人が好きだなと思った。

6/21/2023, 12:46:45 PM