「タイムマシーンがあったら過去と未来どっちに行きたい?」
遥は無邪気な笑顔を見せながら僕に聞く。タイムマシーンか。と呟いたあと沈黙する僕を不思議そうに見る彼女の視線に少しの気まずさを感じる。
タイムマシーンか……僕は君に会いたいな。過去のーー
そんなふうに素直に言えたら良かったけど、今の心地よい関係が壊れるのが不安だったから、無言を突き通して困ったように笑った。
「タイムマシーンなんて非科学的だからなぁ」
なんて、誤魔化しながら。
「颯太くんはいつもそう言うー!」
「そんなに変わってないかな?」
すっとぼけたような僕に、遥は「変わってないー!」なんて、ポカポカと僕の頭を叩く。
不思議と痛さは感じなかった。
君とまた笑って話せる時が来るなんて思ってもみなかったから。
僕の心は高揚していた。
けれど、君にはもう触れられないんだね……と寂しくなる。
もっとも、君に触れたことなんて1度もなかったな。
タイムマシーンがもしも本当にあるのなら、僕はきっと、君に告白をしたり、もっとがむしゃらに君へと想いを伝えられたのかもしれないな……。
君は1年前に亡くなったのだからーー
それでも幽霊とか、幻覚でも何でも良かった。君とまた話せるのなら
1/23/2024, 8:25:54 AM