風邪____
2022/12/16 小説日記
〈12/15・夜〉
夜になると私はおかしくなる。誰だって自己嫌悪をしたり反省をする時間。それが寝る前や夜の人がほとんどだろう。昨日の夜、正確には今日の深夜、
ずっと寝れなかった。
寝ようとしている自分も
気を紛らそうとしてYou Tubeを見る自分も
自分が嫌で泣いている自分も
起きている自分も
過去の自分も
今の自分も
全部気持ち悪かった。
今すぐこの体から抜け出して何者でもない“何か”になりたくてひたすらベッドの中でうめく。そんな自分も気持ち悪い。
〈12/16・昼〉
結局全く寝た気がしなく目が覚めた。一時間ってところか。受験生ならみんなが不安で睡眠時間はそれぐらいなのかも知れないけど。周りが同じように辛いのに私だけ甘えてはいけない。そう思った。ダメもとで手をおでこへ当てたけど寒いからか何も感じ取れなかった。
目がカピカピになっていたけれどどうしてそんなに自分が気持ち悪かったのかは覚えていない。いつもそうだ。何に苦しんでどうして泣いていたのか。全く覚えていない。
学校へ、行く。
「あれ、面白い?」
前の席のひかりが挨拶を通り越して違うことを聞いてきた。あれ、というのは彼女に一昨日貸してもらった小説だ。
「うーん、微妙かな〜」
「やっぱそうだよね〜、私もあの話よくわかんなかったもん」
話はわかったのだが一章まで読んでみたもののただの恋愛話にしか私は読み取れなかった。人間関係もとてもシンプルでまるで現実味がない。
私は買ったばかりの「人間みたいに生きている」という本を思い出した。最近はそれを読んでいたのだがひかりに「マジで誰がだれたがわからんくなるよw。貸してあげる〜」と言われせっかくだから貸してもらうことになった。本当は今読んでいる小説を読み切ってから借りたいのだが、そんなワガママは言えない。
唯一、1日の中で好きな朝読の時間はありきたりな恋愛話を読む退屈な時間へ変わってしまった。
「気持ち悪」
無意識だった。いつもは急に変な声を出したりビクッと体がはねたり歌を歌いだしたりいろんなことをしてその言葉を抑えていた。なのに、今日はその言葉をいうのが息をするのと同じぐらい普通に声となった。
「なにが?」
隣にいた親友が問い掛ける。
「…あれあれ、いちのすけの使い果たしたティッシュのせいで教室のゴミ箱溢れてんじゃん」
「え!!あれ、いちのすけの鼻かんだティッシュだったのー!!」
「そうだよ笑」
「うっわー、あつい自分で持って帰れよ」
危ない。危なすぎる。上手く話題を変えたけど、危機一髪だった。すぐにいちのすけのことを思い出してよかった。私達は手を洗い少しダベったあと急いで教室へ戻った。
もう、その後昼に何か起こることはなかった。強いて言うならいつもより過去の嫌なことを思い出す回数が増えたぐらいだ。
〈12/16・夜〉
私は、昨日の夜書いた日記を読んだ。だけど、それはとても読める字ではなかった。ただひたすら自分の悪口を書いているだけ。パニクっていたせいか誤字脱字も酷く後半はほぼ「気持ち悪」という言葉で埋め尽くされていた。私は怖くてその日記をスマホのメモ帳の中から消した。
覚えていないのが余計に怖くてこのままだと二重人格になりそうでどうすればいいか分からなかった。
12/16/2022, 11:36:02 AM