明日奏

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僕は大人になりたくて今までの自分を全て捨てようとした。
毎日機械のように生きるのも悪くないと思って。
でもどこか苦しくて深く深く沈んでいく。

気がつくと僕は知らない場所にポツンと立っていて、目を凝らすと子供が僕に手招きをしている。
その子はこちらに向かってきて僕の手を引いて色々な場所を楽しそうに紹介してくれた。

日が暮れるまで遊んだ公園、自転車で駆け巡った坂道、友人と一緒に買い食いした駄菓子屋…
どこもかしこも懐かしさを感じてなぜか涙が溢れた。
そして僕はこの子に伝えた。

「ありがとう。ボク。」

その子の笑顔がだんだんと見えなくなっていく。

昇っていくような感覚のあと、ゆっくり目が覚めて涙を拭う。

僕は教えてもらった。あの時の心まで捨てるなって。

大人としての責任と子供のままの心を残してまた自分を形作ろうと。

5/12/2024, 12:09:42 PM