せっかく来たからには全部のお風呂を堪能したいではないか!
薬湯
露天風呂
壺風呂
ジャグジー
電気風呂
ミスト風呂
うむ、一通り堪能した後で、最後に勝負の時がやって来る。
対戦相手は俺じゃ。
つま先からそろりと水風呂に入り、弛緩していた体を筋肉がギュッと絞り上げていく。
肩まで浸かり、まずは落ち着けとゆっくりと深呼吸。
吐く息が冷え冷えとした頃合い、おもむろに大きく息を吸い込むとトプンと頭の先まで湯船に沈める。
今日は何秒まで息が続くか、いざ勝負!
だんだん肺の中の空気が冷え切ってゆくのを感じる。
まだ前回の半分も経たない内に苦しい…苦しくなってきたぞ。
胸の鼓動を数えているので、凍えた心臓は動き鈍くなり1秒がどんどん長くなってゆく。
このまま止まってしまうんじゃないか。
もう限界だ。
酸素を求めて顔を上げると、ゴールで待っていたのは
「お客さ〜ん、ウチ潜水禁止なんでご遠慮くださ〜い。」
ネットで検索してみると、どこの銭湯でも湯船に顔をつけるのはマナー違反のようだ。
生涯破られることのないエターナルレコードとなった。
今日の風呂上がりのコーヒー牛乳は格別にうまし。
胸の鼓動
9/8/2023, 5:56:04 PM