いぶりがっこ

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 格別に寒い夜。ほんのわずかな酒を含んで寝ることがあった。
 さすれどもさすれども凍える手足が徐々に熱を発するようになり、寝入りが楽になるのだ。
 普段は滅多に酒を飲まない。飲むのは珍しく参加した飲み会くらいで、体内に入れた酒より場の空気に酔ってしまう。

 酔うためではなく、温まるため、眠るため。
 そうやって飲むお酒は、その夜は、なんだか特別で贅沢な気分になるのだった。

1/21/2024, 10:40:38 AM